2013年9月4日付でお伝えした中国商標法改正のニュースの続報をお伝えします。今回の中国における商標法改正の主旨は、手続きの迅速化、及び商標制度に対する国際基準の導入、正当な権利者に対する保護の強化であると考えられます。
速報時点の概要に対する追加情報は以下の通りです。

1. 一商標一区分制度から一商標多区分制度へ
これまでは区分ごとの出願でしたが、改正法では一商標につき、複数の区分を指定して出願することができます。
ただし、改正後のオフィシャルフィーは未定です。
また、現在の商標権に対する影響はありません。

2. 商標登録出願の内容に不備がある際、審査官が説明若しくは修正を求めることが可能に
中国では拒絶事由がある場合、日本のように特許庁から拒絶理由通知が発行され、それに対して意見書や補正書で応答できるのではなく、いきなり拒絶査定が下っていました。改正法では意見書や補正書による応答の機会が与えられる可能性があります。いかなる拒絶事由に対して意見書・補正書での対応が可能かは不明です。

3. 審査期間は出願書類受領から最大9カ月に
これまでは審査期間の期限は設けられておらず、平均的な審査期間は1年半でした。本改正では審査期間が明記され、最大で9カ月という上限が設けられました。

4. 更新手続が期限満了の12か月前から可能に
現行では6か月前から更新手続が可能ですが、改正法では12か月前から可能になります。

5. 音声商標の導入
具体的な出願方法は未定です。
また、中国の国歌や軍歌等、一部の音声については登録拒絶される旨の規定があります。

6. 商標の使用態様の明文化
従来、判例及び解釈に委ねられていた「商標の使用」の定義が条文で明記されます。
改正法によると、「商標の使用」とは、「商標を商品、商品包装または容器および商品取引文書上に用いること、広告宣伝、展覧およびその他商業活動中に用い、商品の出所を識別するために用いる行為」をさします。

7. 商標権侵害行為の明文化
模倣品業者等、直接的に商標権を侵害する者のみならず、侵害だと知りながら、侵害品の貯蔵、運送、郵送、経営場所の提供など、間接的に侵害者を幇助する行為も商標権侵害とされ、同様の行為をした者は損害賠償の対象となります。

8. 権利侵害に対する罰則の強化と損害賠償に関する規定の変更
① 罰則の強化について
行政(工商行政管理部門)が従来模倣品業者を摘発する際に命じていた罰金の額が明記されます。
また、模倣品であることを知らずに販売していた業者に対して、行政が販売停止を命じることが出来る旨も明記されます。
② 損害賠償に関する規定の変更について
損害額が算定困難な場合の賠償額が50万元以下から300万元以下に引き上げられます。また、損害額の3倍の範囲内での懲罰的損害賠償制度が導入されます。
さらに、権利者による損害賠償額の立証が容易になります。損害賠償額を立証するための証拠が模倣業者にしかない場合、訴訟の中でその提出を模倣品業者に命じることが出来るようになります(証拠開示制度の導入)。

9. 代理人による悪意の出願禁止
すでに中国にて使用されている、ある程度影響力のある未登録の商標の冒認出願や、第3者による抜け駆け出願(ある企業Aが中国に進出することを知ったそのパートナー企業Bが、Aが中国で出願する前に、Aの商標を先に出願すること)であることを知りながら、出願手続を代行した代理人には罰金が科されます。
また、依頼を受けた出願に拒絶事由があり、登録が拒絶される可能性がある場合に、代理人にその旨を依頼者に告知する義務が課されます。

10. 馳名商標認定機関が明確化
これまでは馳名商標の認定を地方政府等が個々に行っていましたが、改正法では以下の機関のみが認定できることになります。
・ 登録審査・第三者異議・行政の商標権侵害に関する調査:商標局
・ 再審請求など:商標評議委員会
・ 訴訟:人民法院
また、商品、商品包装または容器上、広告宣伝、展覧、商業活動中に「馳名商標」と表記することが禁止されます。違反した場合は罰金が科されます。

11. 不使用商標、普通名称化商標の取消しが明文化
従来も、正当な理由がなく3年以上不使用の商標に対する取消請求は認められておりましたが、それに加えて普通名称化し、識別性を失った商標に対しても、取消しを請求することが可能になります。また、これらの取消請求はいかなる法人・個人に対しても認められます。
なお、取消請求の審理に12カ月以内の期間制限が設置されます。

12. 無効宣告制度の導入
異議申立てが認められず出願商標が登録された場合、異議申立ての決定に不服な異議申立人は、商標評審委員会に登録商標の無効宣告を請求することができます。
登録商標無効宣告請求の審理は12カ月以内、無効宣告に対する覆審の審理は9カ月以内という期間制限が設置されます。

13. 不正競争防止法適用の明文化
従来も不正競争防止法で他人の登録商標の盗用や他人の企業名称の盗用は禁止されておりましたが、今回、他人の登録商標を企業名称に使用することも不正競争行為にあたり、不正競争防止法で禁止されることになります。

今回の改正における主なポイント3点を下表にまとめます。

ポイント 概要
手続きの迅速化、利便性の向上 ・審査期間は出願書類受領から最大9カ月に
・更新手続が期限満了の12か月前から可能に
・取消審判請求の審理期間は最大12カ月
・無効宣告請求の審理期間は最大12カ月
・無効宣告に対する覆審の審理期間は最大9カ月
国際標準化 ・一商標一区分制度から一商標多区分制度へ
・商標登録出願の内容に不備がある際、審査官が説明若しくは修正を求めることが可能に
・音声商標の導入
罰則強化、正当な権利者に対する保護強化 ・模倣品業者に加え、侵害だと知りながら模倣業者に加担した者も損害賠償の対象に
・権利侵害に対する罰則の強化と損害賠償額立証の容易化
・代理人による悪意の出願禁止
・馳名商標認定機関が明確に
・普通名称化した商標の取消しが可能に
・他人の登録商標を企業名称に使用することに対する、不正競争防止法の適用

上記は現時点での情報となることをご了承ください。
商標法の施行条例の制定等、より詳細な情報が判明次第、別途ご案内いたします。

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本件に関するお問い合わせ先
株式会社ブライツコンサルティング
担当:豊田 脩二
E-Mail: tm@brights.jp
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