2009年に統一ドメイン名の紛争解決ポリシー(UDRP)に基づいた世界知的所有権機関(WIPO)の調停センターにファイルされた仲裁申立の件数が2,107件にのぼりました。2009年の仲裁申立の件数は2008年と比べて9.5%減少しましたが、紛争対象となったドメインネームの数(4,688件)がUDRP史上最高となりました。コストを下げるため、複数ドメインを含む申立がファイルされたことが多かったと見られます。例をあげますと、Inter-Continental Hotel Groupが過去最大の仲裁申立をファイルし、一つケースで1,542件のドメインネームについて申し立てしました。

 2009年にファイルされたケースの当事者は前年度比10%増の114ヶ国に亘り、WIPO調停サービスのグローバル化を反映しています。2009年のケースは、46ヶ国からの310人の WIPOパネリストにより解決されました。ケースに巻き込まれたレジストラが多くアメリカに在留しているため、84%のケースが英語で審理されました。他のケースは13の言語で審理され、その中にはスペイン語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語などあります。

 トップレベルドメインに関しては、以前と同様に「.com」が最も多くの仲裁申立を受けたgTLDとなり、87%にのぼりました。裁定に関しては、84%のケースで「申立人への移転」、3%で「ドメイン取消」という裁定が下されましたが、残りの13%のケースが拒否されました。

 去年からUDRP手続きにかかるコストの減少を目的とした新たな動きも始まりました。2009年12月に「eUDRP」と呼ばれるペーパーレス制度(eメールのみの電子ファイリングによる申立書及び答弁書の受付)を実験的に導入されました。2010年2月28日までは従来通り書面手続きと電子ファイリングを選択できるプロセスでしたが、2010年3月1日から電子ファイリング「eUDRP」に一本化されました。

 この新方針が採用されてから1,000件の申立が電子ファイリングにより提出され、2009年12月-2010年3月の期間が前年同期比で仲裁申立が13%増加しました。

 現在サイバースクワッティングの行為が増えている中、企業が自社ブランドを積極的に守る必要があります。ドメインネームの不正登録との戦いにおいて、裁判所に訴訟を提起するより、UDRPのほうが比較的短い期間で実施でき、コスト効率の高い方法です。その上、「.com」、「.net」などのgTLDだけでなく、62ヶ国のccTLDもカバーされていますのでWIPO仲裁申立が最適なソリューションだと考えます。

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