今回の改正は、旧著作権法では想定していなかった点に対応するため、インターネットなどを活用した著作物利用の円滑化、インターネットを通じて行われる新しい形での違法な著作物の流通の抑止、障害者の情報利用機会の確保を目的としています。(文化庁の発表による改正目的と改正内容は下記の表をご覧ください。)

この中で最も注目されているのは、主にインターネットを用いた新しい形での、違法な著作物の流通の抑止を目的とした部分、特に、違法なインターネット配信による音楽・映像を違法であると知りながら複製することを権利侵害と定めた点です。

改正前は、権利者の許諾なしに著作物をアップロードする行為は違法でしたが、たとえ違法にアップロードされたファイルであっても、それをダウンロードする行為は「私的使用」の範囲内とされており、違法行為ではありませんでした。つまり、法的には、自分で聴くためであれば、権利者の許諾なしにコピーされた曲を、Winnyでダウンロードすることも、レンタルビデオ店でCDを借りてきて、カセットテープにダビングすることも同じ「私的使用」でした。しかし、今回の改正で、著作権侵害にあたる音楽・映像を、侵害であると知りながら複製する行為は私的使用目的には当たらず、著作権侵害行為であり、違法であると定められました。

しかし、違法とされたものの、罰則がないことから、実質的な効果を疑問視する声もあります。

コンピュータソフトウェア著作権協会、日本レコード協会、日本国際映画著作権協会が共同で、2009年9月24日~30日にアンケート方式で、第8回「ファイル共有ソフト利用実態調査」を実施しました。

これによれば、ファイル共有ソフトの「現在利用者」(全体の9.1%)のうち74.7%がダウンロードの違法化について何らかの認知をしていました。また、「現在利用者」の著作権法改正後のファイル共有ソフトの利用意向は、30.7%が「継続利用は減ると思う」と答え、13.6%が「利用をやめようと思っている」と答えています。著作権侵害物のダウンロードに対して、今回の著作権法改正により、ある程度の抑止効果が期待できることを示唆しています。

また、今回の改正は違法ダウンロードをした者に対する民事訴訟にも何らかの影響を与えるものと考えられます。しかし、具体的な影響については実際に判例が出るのを待たなければなりません。今後の動きが注目されます。

表:文化庁の発表による改正目的と改正内容

改正目的 改正内容
インターネットなどを活用した著作物利用の円滑化 以下の行為が権利者の許諾なく行えるようになりました。
1.インターネット検索サービスを実施するための複製
2.権利者が所在不明である過去の放送番組などのインターネットの二次利用
3.国会図書館での所蔵資料の電子化
4.インターネットでの美術品等の販売等に際しての画像掲載
5.情報解析研究のための複製
6.送信の効率化のための複製
7.電子機器利用時に必要な複製
違法な著作物の流通抑止 インターネット販売等で海賊版と承知の上で行う販売の申し出が違法となり、罰則を適用されるようになりました。 違法なインターネット配信による音楽・映像を違法であると知りながら複製することは、私的使用目的であっても権利侵害となりました。
障害者の情報利用機会の確保 視覚障害者向け録音図書作成が可能な施設を公共図書館等にも拡大されました。 聴覚障害者のための映画や放送番組への字幕や手話の付与が可能になりました。 発達障害などで利用困難な者に応じた方式での複製が可能になりました。

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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社ブライツコンサルティング
担当:松本健吾
E-Mail:tm@brights.jp
Tel:03-5652-7560  Fax:03-5652-7561
http://brights.jp/

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